銭湯で戦闘
最近、本州の方が連日の猛暑というニュースをよく耳にします。
中には40℃を超えたという報道もあります。
大変だなと他人事で聞いていたニュースでしたが、ついに僕の住む町、札幌も30℃を越えてきました。
僕は暑さに極端に弱いため、今日はスタバに避難してきてます。
それにしても暑い。
暑くてどうにかなりそうだ。。。
そんな暑い暑い言いながら、ふと思い出したことがある。
先日、銭湯に行ったときの話なのだが、その日も今日ほどではないが、それなりに暑い日だった。
脱衣場には知り合いらしき中年のオッサン二人が談笑しながら服を脱いでいた。
一人は見るからに太っていて、風呂上がりかと思うほどすでに大量の汗をかいていた。
もう一人は小柄ではあったが、むやみやたらにチンコがデカかった。
宝の持ち腐れとはこのことだなと思いながらも僕は二人の中年の会話を聞いていた。
というよりは声が大きいので聞こえてきた。
二人は今日は暑いという感じの話をしていた。
話しを聞く限りでは、汗かきとデカチンでは体感温度が違うせいか微妙に噛み合っていないように思えた。
確かに僕もいつもよりは暑かったが、汗かきオジサンが言うほど暑いとは感じていなかった。
しかしながら、汗かきオジサンは見てるこっちが暑くなるくらい、ハァハァ言っており、暑くて息苦しいとまで言い放つ始末。
本当に暑くてハァハァなってるのか、心筋梗塞などではないのかと心配になるくらい、とにかくスゴイ勢いでハァハァ言っていた。
息づかいだけを聞いていると中年の太ったオッサンが脱衣場でオナニーをしてるようにしか聞こえない。
(ハァハァ)
(ハァハァ)
あぁなんだよ、(ハァハァ)
そのオナニー汗かきオジサンは暑さにイラついてきたのか、はたまたデカチンオジサンが暑さを理解してくれなくてイラついてきたのかは定かではないが、暑い暑いと連呼していた。
暑いのは嫌いだ。(ハァハァ)
暑いと何もできねぇ。(ハァハァ)
脱衣場の冷房効いてねぇ。(ハァハァ)
とにかく無性にイラついていた。
僕を含めた周りにいた見るからに体型もチンコも普通であろう裸の男達は誰しもが同じことを思っていたに違いなかった。
『お前が太っているからだろう。』
裸の男達は互いに一切の言葉を話すことなく、まるで、長年知っているかのように互いを理解していた。
ある種の友情が芽生えていたのだ。
美しき友情が芽生えた花畑でハァハァうるさい汗かきオジサン虫は勢いを増して文句を言い続けていた。
北海道でこんなに暑いと住めるとこないな。(ハァハァ)
汗でシャツが脱げねぇ。(ハァハァ)
これだから暑いところは本当に嫌だ。(ハァハァ)
そう言いながら汗かきオジサンとデカチンオジサンは浴場へと向かっていった。
この日は人が多くいたように感じた。
とは、言ったが滅多に銭湯なんて行かない僕がまるで常連客であるかのような発言をしたことはこの際どうでもよい。
そう、滅多に銭湯に行かない僕がその日に限ってあのうるさい汗かきオジサンに出会ってしまったのだ。
銭湯とはリラックスできる空間ではなかったのか?
僕は勝手に神と崇める熊谷真士さんは確かブログで銭湯は男達が自らのチンコのデカさを競い無言のマウント争いをする場であるような爆笑記事を書いていたことを思い出していた。
チンコのデカさを競い合う勝負は脱衣場で目撃してしまったデカチンオジサンに完敗していた。
そんなことを考えながら湯船に漬かっていると、露天風呂から汗かきオジサンとデカチンオジサンが戻ってきた。
汗かきオジサンはまだ文句を言っていた。
一体この人は何がしたくて銭湯に来てまで文句を言っているのだ?
銭湯にまで来てこんなことを考えるのはとても勿体無い気もするし、なぜですか?とも聞く気はないが、この得たいの知れない男性に少なからずの興味を持ってしまっていたのかもしれない。
なぜ銭湯に来たのか?
なぜ太ってるのか?
なぜそこまでハァハァ言ってるのか?
なぜ自分のチンコも隠さずデカチンオジサンの横を歩けるのか?
僕がそんなことをあれこれ考えていると、同じ湯船に浸かっていた、幼い子供が父親に向かって『あの太ったオジサン暑い暑いうるさいね』と言い放った。
この子は汗かきオジサンがうるさいことを的確に捉えていた。
僕は汗かきオジサンが得たいの知れない生物だと感じていたのに対し、この幼子は的確かつ瞬時に汗かきオジサンを理解したのだ。
しかし僕もそれなりの人生を歩んできた猛者である。
幼子は汗かきオジサンのことは理解できたかもしれないが、デカチンオジサンのことは理解できていなかった。
父親もそこは見過ごしていたであろう。
本当にうるさいのはデカチンオジサンの方だ。
汗かきオジサンは耳にうるさいかもしれないが、デカチンオジサンは目にうるさい。
いや、ダイレクトに本能に響いてくるのだ。
チンコの大きさで人生の勝負が決まることを幼子はまだわかっていなかった。
明らかに冴えない感じの小柄なデカチンオジサンがこの場ではチャンピオンなんだと。
幼子にはわからない勝負の世界を堪能していることに僕はちょっとした優越感に浸っていた。
汗かきオジサンへの興味は薄れ、僕は幼子に興味が湧いてきた。
興味が湧いたというよりは、デカチンオジサンに惨敗していたため幼子相手に勝者になりたかったのであろう。
幼子と僕との勝負の間にいつの間にかサウナに入っていた汗かきオジサンとデカチンオジサンがサウナから出てきた。
汗かきオジサンがサッパリしたと言っているのを聞いて、幼子が父親に言い放った。
『暑い暑い言ってるのになんでサウナにはいったんだろうね?サウナの方が暑いのに』
父親きょとん。
僕もきょとん。
確かに。
父親は無邪気な質問に戸惑っている様子だ。
僕が近くにいる為、嘘も言えないうえに、自分の我が子に対しても真摯に答えようとしてるのが手に取るようにわかった。
父親がチラチラこちらを見てくる。
僕は気付かないフリをする。
正直に僕もこの時点では明確な回答など持ち合わせてない。
この湯船においては幼子がマウント争いの頂点に君臨し、僕と父親の2番手争いが始まっていた。
父親は答えられなければ僕に負けるとでも思ってるのか必死で答えを捻り出そうとしている。
僕は僕であたかも答えを知っているかのように余裕を醸し出すのに必死である。
見苦しい、実に見苦しい戦いではあるが、ここで負けたら僕の階級は汗かきオジサンと同列になってしまう。
父親が必死で考える横で幼子が答えを急かしている。
父親は答えた。
サウナにはテレビがあるからだよ。
なんだそりゃぁ!
幼子の質問の回答にはなってないやんけぇ。
僕は勝利を確信し、父親は敗北を受け入れたようであった。
父親は落ち込んだ様子で、そそくさと逃げるように幼子を連れて湯船から出ようとした。
あんたチンコデカイやん。
結局、僕が敗北を受け入れ、そそくさと湯船からはおろか浴場から出るはめになった。
熊谷さんはチンコを勃起させることで、マウント争いに勝ってたが、僕は完全に油断をしていた。
父親をなめていた。
次に銭湯に行く機会があって、あの親子に会うことがあれば、フル勃起状態で仁王立ちしようと思います。